パトレイバーQ

〜パトレイバー 不思議な不思議な物語〜



A山の大鼠〜Large mouse of a certain mountain〜
「どうする…こりゃぁヤバイぞ…」
「坂村さん、落ち着いて…奴は直に自衛隊か警察が退治してくれますって…」
「しかし、こっちが怪しまれるのも直だ。どうする…」
怪しい会話をする二人の男の背後では、数々の動物が眠っている。
その中には牛や象などもいるが、それは哺乳類より爬虫類に近い感じだ。
そして、「鼠」と書いたラベルが貼ってあるカプセルは割れており、そこから流れた
液体で床が濡れていた。
「今すぐこっちの警備員を出動させろ。そして始末させろ。もう鼠の巨大化はやめだ…」
坂村と呼ばれた中年の男は助手に命令すると、助手は放送用のマイクで何かしゃべり
始めた。
その頃その「警備員」が居る宿舎には警報が鳴り、数人の警備員が車で出た。
すると車のナンバーがかわり、車は猛スピードで発進した。
車の「カーナビ」の部分には鼠の現在地が表示されており、助手席と後方座席に乗っ
ている警備員はすぐさま銃の準備をした。
その時、急にサイレンがなり始めたと思うと、数台のパトカーが後ろに来ていた。
「ふっ…警察か。構わずぶっ放せ。」
運転している警備員に言われ、他の警備員は銃をパトカーに向かって連射した。
パトカーが何台か破壊され、破壊されたパトカーによって他のパトカーは止められ
てしまった。
「ったく、俺達の敵は誰なんだ?怪物か?警察か?」
「両方だ」
しかし次の瞬間、目の前に巨大な生物が現れた。
警備員はすぐさま銃を生物に連射する。
その生物は、警備員が追っていた大鼠だった。
だが、鼠はその銃を受けてもびくともしない。
体からは血が流れているが、まだ動いている。
「鼠のくせにぃ…死ねぇ!」
助手席に乗っている警備員が大鼠に銃を連射する。
しかし、鼠がこちらに顔を向けたと思うと、すぐさま猛スピードで突進してきた。
そして、助手席に乗っていた警備員は鼠にくわえられ放り出され、食われていった。
「こなくそぉ!」
後部座席の警備員も銃を連射する。
しかし、次の瞬間、鼠が車にぶつかったかと思うと車は爆発した。
無論乗っていた警備員は爆死、大鼠はそのまま逃走した。
この事件はすぐニュースでも放送され、あの埋め立て地にもそのニュースは届いて
いた。
特車2課 隊長室
「それにしても何だねぇ、怪物なんてあの時以来だ。」
机に足を乗っけて新聞を読みながら後藤が言う。
「でもその怪物は鼠みたいよ。被害者も出てるらしいわ。なんんでもあの太田薬品
専属の警備員だとか」
しのぶが資料に目を通しながら言う。
「世の中物騒になったねぇ…鼠が怪物騒ぎに出るなんて」
「もう人間が生まれた時点で物騒になってたのよ」
しのぶのあっさりした返答に、しのぶさんがそんな事言うなんて珍しい…と、後藤
は思うのだった。
数時間後---------ミーティングルーム
「出動ですかぁ?」
遊馬が声をあげる。
「そうよ、出動。とりあえず篠原巡査、泉巡査、山崎巡査の第1班が閉じこめた鼠
の監視。午後6時になったら第2班と交代。いいわね?」
「はぁ…それにしても、あの鼠、どこにいるんですか?」
「あの事件があったA山よ。道路に閉じこめられて、今道路が封鎖されているわ。」
「また怪物ぅ?もうこりごりぃ」
野明が声をあげる。
「やるしかないのよ。自衛隊だけに任せておいちゃだめでしょ」
「はぁ…」
A山
「こ…これが鼠?爬虫類みたい…」
イングラムのモニター越しに鼠を見た野明がつぶやく。
「ま、奴は得体のしれない怪物だ。俺は何があってもおかしくないと思うがなぁ…
あん!?」
遊馬が目を丸くして鼠を見る。
そして、すぐさま指揮車に乗ってバックした。
なんと、電気網を破って出てきたのだ。
「ちょっと遊馬ぁ!」
「俺が知るか!」
後退する遊馬。
イングラムは何とか鼠を電磁警棒でくいとめる。
しかし、鼠が食いついているシールドにはどんどん歯が食い込んでいる。
「こなくそぉ!」
鼠を殴りとばすイングラム。
指揮車内では遊馬が応援を要請している。
「機械をなめるなぁぁぁ!」
機内で叫ぶ野明。
後方からは2号機が来る。
「野明、射撃許可が降りた!鼠に当てろよ!」
「了解!」
リボルバーカノンを抜き、鼠の口内に撃ち込む1号機。
2号機は鼠の背中に撃ち込む。
「こ…これだけやりゃあ…」
野明がつぶやく。
しかし、鼠は生きていた。
血を流し、血を吐きつつも太田の2号機に飛びつく。
「な、何だ何だ何だぁ!」
鼠の口内にリボルバーカノンを撃ちまくる太田。
しかし、まだまだ鼠は止まらない。
2号機のボディには噛まれた跡やひっかき傷がかなりついている。
そして、弾切れ。
「た、弾切れだぁ!」
太田が叫ぶ。
無論、こんな状態じゃ弾を詰められない。
仕方なく鼠をリボルバーカノンで殴る。
一方、弾を詰め終わった1号機は鼠に銃を撃つ。
そして、2号機が落としたリボルバーに弾を詰める。
2号機は電磁警棒で奮闘している。
「泉ぃ、リボルバーはまだかぁ!」
叫ぶ太田。
「終わったぁ!」
弾を詰め終わったリボルバーを2号機に渡す1号機。
「銃があればこっちのもんよぉ!」
口の奥まで腕を突っ込みリボルバーを撃ち込む2号機。
そして、丁度弾が終わったところで右前腕を噛み砕かれる。
しかし、1号機のリボルバーが鼠を襲う。
次の瞬間、遂に終わりが訪れた。
何十発もの弾丸を撃ち込まれた鼠は断末魔の咆哮をあげると、その場に倒れた。
「お…終わっ…た…?」
息を切らしながら野明が言う。
「はぁ…はぁ…人間様が…はぁ…鼠ごときに…やられてたまるか!」
太田も偉そうなことを言っているが、息を切らしている。
「ねえ、遊馬、鼠の処分どうすんの?」
野明はやっと呼吸を整えたようだ。
「んなもん、科研やらそこらがやってくれると思うけど、ですよね、隊長?」
いつの間にか後藤が遊馬の隣にいる。
「処分は俺達の仕事じゃないと思うけど?」
後藤は遊馬の顔を見る。
「は、はぁ」
「取りあえず、引き上げるわよ」
熊耳が指示を出す。
野明や太田はトレーラーにイングラムを積むと、そのまま2課へと去っていった。
その間に、鼠の処分に来た科研とすれ違い、敬礼する後藤達。
そして、やっとのことで第2小隊は「家」へ帰れるのであった。
数日後
「しのぶさん?」
「なぁに?」
「昨夜のニュース、見た?」
「昨夜はそんな暇なかったわ。」
「A山で、例の鼠と思われる生物の足跡が見つかった。」
「…!」
「信じられる?奴、繁殖してるんだ。事件の容疑者である坂村によると、奴は
特殊な菌を出して普通のハツカネズミでもハムスターでも野ネズミでも奴と同
じような怪物にしちゃうらしいんだ。そして、奴は菌をばらまき、同じ個体を
いくつも生み出した。そして「本体」が死んだ今、子孫を少しでも残そうと菌
によって生まれたあの鼠の怪物が繁殖しているらしい。明日にでも、自衛隊の
鼠捜索と駆除が行われるらしい。」
「だけど、既に奴らはかなりの数なんでしょう?」
「でかいからすぐに見つかりそうだけど、しかしだよ?」
「何?」
「奴ら、そんなに居るなら、既にそこら中に菌をばらまいてる可能性がある。
もう間に合わないんじゃないか?人間にその菌は無効だそうだから人間に感染
することはないとしても、泉たちは奴を血だらけにして殺した。もしかして、
機体、あるいは、俺達に菌がついていたかもしれん。そうなると、この建物内
に鼠がいたら、既にあの怪物になっているかもしれん…」
この後藤の言葉で、隊長室は静まり返った。

「第2作 星から来た男」に乞うご期待!




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